ストーリー
こちらの世界では数年前。
エステリア大陸の最深部には『嫉妬の火』が眠っていた。
それを大陸の探索を進める過程の何らかの弾みで呼び起こしてしまい、大陸中に広がってしまった。
結果、さまざまな不具合や怪奇現象が続発し、アッピーオンライン2は終了してしまった。
サービス終了と時を同じくして、勢いを取り戻した『嫉妬の火』によって復活した騎士『クロノス』は、エステリア大陸全土の人間・生物から、私たちのいる世界「オト・ロモンド」に関する記憶すべてを消去することを試みた。
だが、クロノスは記憶の消去に失敗する。
消去に断念したクロノスは、人々に宿った嫉妬の火を強く燃えさせることにより、もともとオト・ロモンドより三倍早かったエステリア大陸の時間をさらに二倍速め、エステリア大陸の人々自ら忘れさせるように仕向けることにした。
その事態に気づいた運営チームは、オトロモンドで1ヶ月に1度、エステリア大陸では半年に1度となる頻度で、所属するゲームマスターまたは、インターネット上に浮遊する幽霊の少女たちに、エステリア大陸の巡回をさせることに決めた。
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エステリア大陸での20年後。
半年に一度であったオト・ロモンドからの巡回が、1年半に一度あればよい方にまで、頻度が減ってしまう。
30年後。
終了時から5歳成長した幽霊の少女が、オト・ロモンド巡回担当としてやってくる。
少女が旧水都ナーレ市街を歩いていると、図書館らしき建物から皺が目立ってきた女性が話しかけてきた。名はスピカ。60歳近くになっていた。
「――オト・ロモンドの人はまったくこちらの世界に来ない。オト・ロモンドの貴女だから聞きたいの。
いったい、あの世界の人々はどうしてしまったの?なぜ私たちを見捨てたのです?
……ふふ、久しぶりの来客です。もうボロボロになってしまいましたが私の図書館でお茶でもどうですか?」